貸倒引当金の補足 当期に発生した債権が貸し倒れたとき
今回は貸倒れの話でちょっと補足しておきたいことがあるよ。それは、当期に発生した債権が貸し倒れたときは、貸倒引当金の残高があったとしても、貸倒損失として計上するってこと。
えっどういうこと?
貸倒れについては4回話してきたね。
まずは簡単な復習。11月20日、前期からの売掛金10,000円が貸倒れとなった。貸倒引当金の残高は20,000円ある。仕訳をしてみて。
貸倒引当金がある時は、それを取り崩すんだよね。
(借方) (貸方)
11/20 貸倒引当金 10,000 / 売掛金 10,000
正解。では11月22日、商品5,000円を掛けで売り上げた。仕訳をしよう。
ふつうに売掛金の仕訳だね。
(借方) (貸方)
11/22 売掛金 5,000 / 売上 5,000
うん。では、取引先の会社が倒産し、その売掛金5,000円が12月20日に貸倒れとなったときの仕訳をしよう。貸倒引当金残高は10,000円ある。
貸倒引当金があるからそれを使いたくなるけど・・・それが違うってこと?
そう。ここで気をつけてほしいのが、この貸倒引当金は、前期末の決算日に設定したものだから、前期末の時点にあった売掛金に対する引当金なんだ。
今回貸倒れとなったのは、当期に発生した売掛金だから、それには使えないんだね。
当期に発生した債権に対する貸倒引当金はまだ設定していない。だから、今回の仕訳では貸倒引当金は使えないんだ。
じゃあ貸倒損失を使うんだね。
(借方) (貸方)
12/20 貸倒損失 5,000 / 売掛金 5,000
うん。そういう仕訳になる。貸倒引当金残高があっても、当期に発生した債権には使えないということに注意しよう。