有形固定資産を期中に売却した場合
期中の売却で気をつけること(当期の減価償却費を計上)
前回は、「有形固定資産を売却する時の仕訳」ということで、期首に売却した時の仕訳を確認したね。
受け取った代金と有形固定資産の簿価との差を固定資産売却益や固定資産売却損とするんだったね。
今回は、期中に売却する場合の仕訳を考えよう。
期中に売却する場合だとなにか違いがあるの?
ひとつ気をつけないといけないことがあるよ。それは、当期のぶんの減価償却費はまだ計上されていないということ。
そっか。売るときは減価償却累計額を借方に仕訳するけど、そこには当期ぶんは含まれていないんだね。
そう。減価償却は基本的には期末にするものだから、当期の期首から売却した月までの減価償却費は減価償却累計額としては計上されていない。だから売ったときにそのぶんの減価償却費も計上するんだ。
じゃあ前期末までの減価償却累計額を借方に仕訳するのといっしょに、当期の減価償却費も計上するんだね。
有形固定資産の期中売却の仕訳
練習してみよう。6月30日に、建物を売却して代金1,000,000円が普通預金に振り込まれたとしよう。建物の取得原価は2,000,000円。減価償却累計額は500,000円。耐用年数は20年。決算日は3月31日だよ。
耐用年数が20年だから、取得原価の2,000,000円 ÷ 20年で年間の減価償却費は100,000円だね。
当期首から売却した月までの減価償却費はいくらになるかな?
3月末が決算だから、4月、5月、6月の3ヶ月ぶんだね。年間の100,000円 × 3ヶ月 / 12ヶ月で、25,000 円を減価償却費として計上すればいいんだね。
売却損益がいくらになるか、仕訳の時の貸借差額で求めてみよう。
借方は普通預金1,000,000、減価償却累計額500,000、減価償却費25,000で合計1,525,000。貸方は建物2,000,000だから、貸借差額は2,000,000 - 1,525,000で、貸方の方が475,000円多いね。
貸借を一致させるためには借方に何を計上すればいいかな?
借方に計上するってことは、費用になるから、固定資産売却損475,000だね。
(借方) (貸方)
普通預金 1,000,000 / 建物 2,000,000
減価償却累計額 500,000 /
減価償却費 25,000 /
固定資産売却損 475,000 /
借方の合計も貸方も2,000,000で一致してるね。期中に売ったときは減価償却費の計上を忘れないようにしよう。
まとめ
- 固定資産を期中に売却したときは、当期首から売却した月までの減価償却費を計上する。